「ステップアップ」
【ホンダ SL350】 バイク編②
二輪免許を手にした友達が増え、自然にバイク仲間が集まるようになった。
短命だった初代の後釜に悩んでいると、手頃な値段の中古が目に止まり、なけなしのアルバイト代を吐き出した。SL350という、たまたま同じシリーズモデルだった。
排気量が4倍になった。周りがいつしか大型バイクばかりになっていたので、足並みを合わせざるを得なかったのだ。グループツーリングでは、小排気量車は置いて行かれてしまうからだ。(ん? 法定速度を遵守していればそんなことはないはず・・・)
それはともかく、この頃は見栄というか意地で、誰もがより大排気量のバイクに乗りたがっていた。ただ、現実は皆が分相応だった。維持費を賄えるか? 技量が伴うのか? 彼らは決して無分別ではなかった。
SL350とは上手く付き合えた。中古ということもあり、小さな不具合が頻発したが、僅かな出費とささやかな工夫で解決できたのだ。人間同士の付き合いも同じようなものかもしれない、と漠然と思い始めた頃だった。手間の掛かる面倒な奴も、腹を割ってみると案外憎めないものだ。
バイクと同様、人間としても少しだけ成長できた・・・気がした。