syouwanowasuremono’s blog

懐かしい旧車・モノ・コトにまつわる雑感

2021-01-01から1年間の記事一覧

昭和の忘れもの

「赤じゃないけど」 【ファミリア3ドアHB 1500XGi】クルマ編⑫ 高い技術力を持ちながら販売面では苦戦を続けていた東洋工業(現マツダ)は、1980年発売の5代目ファミリアの大ヒットによって救われた。 4代目ファミリアは実用的で高い評価を得たが、スタイリ…

昭和の忘れもの

「途切れたシュプール」 【スキーブーム】モノ・コト編㉘ 板:OLIN ビンディング:SALOMON 原田知世の主演映画『私をスキーに連れてって』がヒットしたのは、1987年のことである。この年を挟んだ5年ほどがスキーブームのピークだったように思う。 スキーを始…

昭和の忘れもの

「ブラックボックス」 【カワサキ 750RS(Z2)】バイク編⑳ 開口一番、電話の向こうでKが言った。 「Z2(ゼッツー)買ったぞ」 正式名称「KAWASAKI 750RS」。我が愛車のCB750フォア登場の3年後に発売された、現在も語り継がれる名車である(通称のZ2〈ゼッ…

昭和の忘れもの

「ジョナサンタワー」 【『かもめのジョナサン』 リチャード・バック著(新潮文庫)】モノ・コト編㉗ 1970年にアメリカで刊行され、74年に日本でも五木寛之の訳で120万部のベストセラーとなった。同年、アメリカでは累計1500万部に達したという。昨今の出版…

昭和の忘れもの

「モンスターたちの幻影」 【WRC グループBカー】クルマ番外編 世界的なモータースポーツのビッグイベントとしてF1(フォーミュラー・ワン)、WEC(世界耐久選手権)、WRC(世界ラリー選手権)がある。それぞれクルマ好きにはたまらない魅力があ…

昭和の忘れもの

「後悔はインクの匂い」 【万年筆 プラチナ・パーカー・ペリカン】 モノ・コト編㉖ 当時、高校の入学祝いは万年筆や腕時計というのが定番だった。自身も祖母や叔父からそれぞれ贈られた品を眺めながら、何となく大人になったような気がしたものだ。 腕時計は…

昭和の忘れもの

「紅葉が沁みる」 【CB750four part2】バイク編⑲ ナナハンを手に入れてしばらく経った頃だ。どういう話の流れだったのか忘れたが、高校の部活のOB会があった。思い出と言うほどの年月は経っていなかったが、久しぶりに再会した元部員たちはアルコールの力…

昭和の忘れもの

「虚と実」 【AF(アドベンチャー・フィクション)の世界~海外編~】モノ・コト編㉕ 推理小説と並んで熱心に読み耽ったのが、冒険・スパイ小説―――俗にアドベンチャー・フィクション(AF)と呼ぶジャンルで、わけても海外の翻訳物には夢中になった。 日本の…

昭和の忘れもの

「デートカー」 【日産 シルビア2000ZSE-X】クルマ編⑪ 仕事関係の先輩Dさんが乗っていたもので、直線的なデザインがシャープさを際立たせ、スポーティかつ高級感を纏っていた。車格からいっても我々の年代では最上級車であり、スペシャリティーな“デー…

昭和の忘れもの

「あなたの心に」 【中山千夏 「巷談の会」が熱かった頃】モノ・コト編㉔ “推し”なる言葉はすでに一般に認知されていて、有名な某文学賞のタイトルにも登場した。とはいえ○○B48とか△△坂とかには疎くて、名前と顔が全く一致しない。 しかし、そんなオジサン…

昭和の忘れもの

「新たな出発」 【ホンダ CB750four(K2)】バイク編⑱ 何が不満だったのだろう。 割り切って4輪の大衆車を購入し、2輪への未練を宥めるために原付も手に入れた。しかし、何かが足りなかった。身体の内部が欲している解放感、爽快感、疾走感―――それは埋み火の…

昭和の忘れもの

「袋の中身」 【DIATONE(ダイヤトーン)DS-28B】モノ・コト編㉓ 現在は一部の業務用とカーナビの一機種として辛うじてその名を残しているが、一般的なオーディオスピーカーとしての「DIATONE」ブランドが消滅して久しい。 DS-28Bは普及機であり、名機とし…

昭和の忘れもの

「55㎜×35㎜の記憶」 【広告マッチ(喫茶店・レストラン)】モノ・コト編㉒ 上:辛うじて難を逃れたコレクションの一部 下:40年前の自室の壁に並んでいた広告マッチ 前回の巨大なフェリーから一転、今回は手の平サイズの広告マッチの話である。 かつて喫煙…

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「旅の途上」 【ファミリアAP1400 ツーリングカスタム part2】クルマ編⑩ さて、ようやく北海道の地を踏んだところから、フォーカスはクルマに移る。 旅の相棒は「ファミリアAP1400ツーリングカスタム」(以後ファミリアTC)である。まだ付き合い始め…

昭和の忘れもの

「地獄の海峡」 【青函連絡船】モノ・コト編㉑ ある年の夏、友人のAと初めての北海道旅行を計画した。 事前に作成した行程表は計画とは名ばかりの大雑把なもので、大まかなルートと最低限の観光スポットを書き出したメモ1枚だけ。しかも、宿泊の予約も一切無…

昭和の忘れもの

「自戒」 【ホンダ ダックスST50】バイク編⑰ 一度バイクに乗ってしまうと、身体に染み込んだ感覚は簡単には消えない。その魅力からなかなか逃れられず、街中を走るバイクをつい目で追っていたりする。 後味の悪い結末となった「ホワイトダックス」の一件でモ…

昭和の忘れもの

「別れの朝は、晴れ」 【ショートストーリー】 番外編 1980年代初頭、ドライな文体で一部のファンに支持された作品群があった。今回は時代設定も含め、当時のそのテイストを模したフィクションである。 気怠くなる一歩手前の、微妙なテンポのバラードが流れ…

昭和の忘れもの

「宗旨替え」 【マツダ ファミリアAP1400 ツーリングカスタム】クルマ編⑨ 4輪の2台目の愛車はスポーツカー然としたロータリークーペから一転、丸みを帯びたデザインでパワー的にも非力な、ネーム通りの“ファミリー”カーだった。 にもかかわらず購入を決め…

昭和の忘れもの

「紫煙の向こう側」 【ロスマンズ・キングサイズ】モノ・コト編⑳ 紫煙―――最近とんと見かけなくなった言葉だ。死語と言えるかもしれない。 愛煙家の居場所が年々無くなっている。自身もかつては喫煙者の仲間だったので、彼らの嘆きは理解できる。 煙草を喫い…

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「懐かしき声」 【ファッション電話】モノ・コト編⑲ 何かの企画で10代の若者たちに昔の黒電話を見せたところ、ほぼ全員が目にした事が無く、かけ方もわからなかったという。 確かに、生まれた時から携帯電話・スマホが存在している世代には、回転式ダイヤル…

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「験担ぎ」 【サングラス 各種】バイク番外編 これといった取り柄はないが、視力だけは良かった。過去形なのは、今や老眼鏡無しでは新聞の活字も追えなくなったからだ。悲しむべきことだが、老化は目から始まる。 それはさておき、老眼鏡ではなくサングラス…

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「good-bye ロータリー」 【ファミリアプレスト・ロータリークーペ Final】クルマ編⑧ (季節感のずれについては先に断っておく) 刺激的な夏の毒気が抜けず、しばらく遠出を躊躇っていた。だが穏やかな秋の日差しに気持ちが緩み、紅葉を眺める気分になった。…

昭和の忘れもの

「萌芽の時代」 【情報誌『ぴあ』】モノ・コト編⑱ Ⓒぴあ イラスト:及川正通 若者たちが熱に浮かされたように繁華街を徘徊していた時代だった。 何を求め、何処を目指していたのかも定かではない。とにかく新しい何かの起爆剤とするべく、映画や演劇にアンテ…

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「1年後の答え合わせ」 【トヨタ セリカリフトバック1600GT】クルマ編⑦ 何気なく街を歩いていると、交差点で白いクルマにクラクションを鳴らされた。何事かとドライバーに目をやると、何とNだった。顔を見るのはほぼ1年ぶりだ。助手席には例によって派手…

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「白の運命」 【ホワイトダックス70 part2】バイク編⑯ SL350を手放してから二ヶ月ほど過ぎると、何やら物足りなさを覚えるようになった。何より日常の“足”が無い不便さを痛感させられた。 今さらながらバイクの機動性に思い至ったのだが、これは自他に対…

昭和の忘れもの

「謎解きはお好き?」 【「?」謎シリーズ 探偵小説創作ノート】モノ・コト編⑰ 中学時代はサッカー(部活)と読書に熱中していた。 「文武両道」と持ち上げるのは気が早い。部活は朝練も含めてハードだったので、練習のない時は体力を使いたくなかっただけだ…

昭和の忘れもの

「油断大敵」 【ニッサン ブルーバードU1800】クルマ編⑥ まだロータリークーペを手に入れる前の話である。 4輪の免許を取得したものの、我が家にはマイカーが無かったので、実質的にペーパードライバーの時期がしばらく続いていた。 その年の夏。父方の法…

昭和の忘れもの

「先進と回帰」 【プログレッシブ・ロック】モノ・コト編⑯ キングクリムゾン ピンクフロイド ELP 他 自分には音楽的な素養は無い。だから、お気に入りの曲というのはまったくの独善で取捨選択してきたものだ。そうやってたまたま掬い取った音楽の中には、…

昭和の忘れもの

「決別」 【SL350 part2】バイク編⑮ ーーある愚か者のモノローグーー タイトルで悩んだ。季節柄、捻らずに「卒業」も考えたが、どこか受動的で行儀が良すぎるのが気になった。加えて、未来とセットのような、次の居場所を確保できた者だけに向けての証明…

昭和の忘れもの

「少年と翼」 【エンジン機(Uコン)】モノ・コト編⑮ 正式名称は「コントロール・ライン」といい、現在も熱心な愛好家たちによって全国大会が毎年開催されている。一般的に流行っていたのは60年代から70年代にかけてで、地域の少年たちは「エンジン機」ある…