syouwanowasuremono’s blog

懐かしい旧車・モノ・コトにまつわる雑感

2020-01-01から1年間の記事一覧

昭和の忘れもの

「戦争と平和」 【C-5ギャラクシー(輸送機)とオリジナルのウインドブレーカー】モノ・コト編⑫ 大仰なタイトルだが、もちろんロシア文学の長編大作について語るわけではない。翻訳すると、基地とファッショナブルな店が同居する街で思ったこと―――といった…

昭和の忘れもの

「友達の友達は・・・」 【ホンダ CB350】バイク編⑪ 一緒に走っていたバイク仲間というのはほとんど幼馴染みだったが、高校はバラバラだった。そのため自分の知らない、仲間の友人との出会いがあった。 CB350に乗っていたモリタ君(仮名)はそのひとりだ…

昭和の忘れもの

「少年の後悔」 【手編みのマフラー】モノ・コト編⑪ 前回の修学旅行の話の流れで、恥ずかしい思い出を語ってしまおう。 級友の多くは万博を楽しみにしていたのだが、一部の男女にとってはもう一つ大きな「イベント」があった。それは旅行中、僅か一時間だけ…

昭和の忘れもの

「叔父との約束」 【ニッサン プリンスグロリア スーパー6] クルマ編④ かつて母方の叔父が乗っていた、当時の高級車だ。 辛うじて人並みの暮らしだった我が家とは違って、叔父は手広く商売をしていて二、三年毎にクルマを買い替えるほど羽振りが良かった。 …

昭和の忘れもの

「憧れの技術屋」 【スズキ AC90(改)part2】バイク編⑩ ある時期機械モノに興味を抱くのは、多くの少年にとっての通過儀礼のようなものかもしれない。自身も一時“エンジニア”に憧れて、その方面の進路を考えたことがあった。しかし、頭の構造が理数系…

昭和の忘れもの

「あの時の未来」 【大阪万博 EXPO’70】モノ・コト編⑩ 京都・奈良というのが地元近郊中学の修学旅行の定番だった。 我が母校も慣習通りの予定だったが、急遽大阪が加えられた。ちょうど「EXPO‘70」の年に当たったおかげで大阪万博を見られる機会に恵まれ…

昭和の忘れもの

「無言の抗議」 【スズキ AC90(改)】バイク編⑨ 実はオリジナルには乗ったことがない。このエンジンを載せたカスタムバイクには乗ったことがあるのだが、その話は後に譲る。 今回はAC90(改)で市中を疾走していた人物の話だ。 と言いながら彼の名…

昭和の忘れもの

「どっち派?」 【整髪料 MG5(資生堂)・バイタリス(ライオン)】モノ・コト編⑨ 中学でサッカー部に入っていたことは以前書いた。そこでは半世紀前の運動部ならではの、現在では到底通用しないと思われる封建的な決まり事がいくつもあった。中でも最大の不…

昭和の忘れもの

「天賦の才」 【カワサキ 650-W1S(ダブワン)】バイク編⑧ 何と言っても、キャブトンマフラーから放たれる重厚な排気音が圧巻だった。 だが特段速くはないし、ギアチェンジとブレーキペダルは左右逆だし、デザインも古いしと、若いライダーが飛びつく要素…

昭和の忘れもの

「暗がりのときめき」 【スライドプロジェクター カラーキャビンⅡ】モノ・コト編⑧ 世界最軽量の1眼レフカメラ(ペンタックスMX)が手に馴染むにつれ、行動範囲の狭さもあって、写真の出来映えが画一的なのが気になり始めた。そこで、目新しさを求めてリバー…

昭和の忘れもの

「朝日の中で見たもの」 【ファミリアプレスト・ロータリークーペ part2】クルマ編③ 以前、一日のうち21時間を車中で過ごしたことがあると書いた。 今回は、その顛末をショートストーリー仕立てで。 その夏のある日、ロータリークーペは北へ向かってひた…

昭和の忘れもの

「唯一の勲章」 【三菱鉛筆 手動鉛筆削り器】モノ・コト編⑦ 何の変哲も無い、錆の浮いた古い鉛筆削りである。 実に半世紀以上も前の代物だが今でも現役で、思い出したように世話になる。これまで、レアではあるが一定数の人たちに認知されている事物を取り上…

昭和の忘れもの

「煙(けむ)に巻く」 【カワサキ 500SSマッハⅢ】バイク編⑦ 直線番長、暴れ馬、クレージーマッハ等々・・・揶揄する言葉はいくつもあったが、バイク史に残る鮮烈な個性の持ち主であることは間違いない。 エンジン特性は過激で音はうるさいし、コーナー…

昭和の忘れもの

「スーパーサブ」 【ミツナガ サッカースパイク「アーセナル」】モノ・コト編⑥ 中学時代はサッカー部だった。地区予選では勝ち上がるが、県大会では一回戦を突破できるかどうかといったレベルだった。 明らかな力の差があったことも事実だが、グラウンド(ピ…

昭和の忘れもの

「路地裏の銃撃戦」 【セキデン 銀玉鉄砲】 モノ・コト編⑤ 「銃撃戦」とは穏やかではないが、もちろんおもちゃの拳銃の話だ。 銀玉鉄砲は小学生時代の、少年の必須アイテムだった。敵味方に分かれ、プラスチック製の銃からバネの力で発射する銀玉(弾)で撃…

昭和の忘れもの

「度胸試し」 【ヤマハ RT360(画像は改良型)】 バイク編⑥ 70年代の始めにヒットしたヤマハのオフロードバイク「DT250」の兄貴分だ。 DT250は街乗りもこなす優等生だったが、この兄貴は荒くれ者で不評だった。にもかかわらず取り上げたのは、乗っていたI…

「朝寝坊の理由(わけ)」

【ショートストーリー】 「昭和の忘れもの」 番外編 ペットボトルにお気に入りの“名水”を詰め、自分で挽いてブレンドしたコーヒー豆をプラスティックのフィルムケースにパックする。このフィルムケースというやつは実に便利で、クリップとか虫ピンといった小…

昭和の忘れもの

「思い出の匂い」 【ゾーリンゲンの珈琲ミル】 モノ・コト編④ ゾーリンゲンはドイツ西部の、言わずと知れた刃物で有名な工業都市である。 中でも「ツヴィリング」や「ヘンケルス」は包丁やナイフ、ハサミのブランドとして世界的に知れ渡っているが、その他に…

昭和の忘れもの

「空っぽの箱」 【日産 スカイライン2000GT-R(ハコスカ)】 クルマ編② かつて日本のレースシーンにおいて輝かしい戦績を収めたマシンの市販版である。 直線的なデザインから箱型のスカイライン、通称「ハコスカ」としてファンの間では今でも高い人気を誇…

昭和の忘れもの

「律儀」 【ヤマハ XS650】 バイク編⑤ 大排気量バーチカルツイン特有の重厚な排気音と振動、一方で意外なほど素直な操縦性が持ち味だった。 このバイクにも二ヶ月ほど乗っていた。仲間のFの所有車だったが、彼にその愛車の運転の”代行”を託されたのだ。 …

昭和の忘れもの

「平和の行方」 【ピースマークのペンダント】 モノ・コト編③ 起源が核軍縮のシンボルとは知らなかった。 ファッションとは無縁だったが、何を勘違いしたのかこのペンダントを首にぶら下げていた時期があった。十六、七の頃だったと思う。何も知らないまま、…

昭和の忘れもの

「ムズムズ」 【ホンダ ホワイトダックス70】 バイク編④ 書棚を整理していると、奥から小さなプラモデルのキットが出てきた。ホンダのホワイトダックスである。 いくつかの部品をはめ込むだけの簡単な代物で、以前友人から貰ったものだ。彼が知っていたかは…

昭和の忘れもの

「文通」 【NEC ワードプロセッサー 文豪mini7G】 モノ・コト編② 悪筆がずっとコンプレックスだった。 特に意識し始めたのは中学生になった頃か、字の上手い級友が羨ましかった。文字の綺麗な女の子は、それだけで可愛さが五割増した。 そんな初心なのか不純…

昭和の忘れもの

「記念写真」 【旭光学 ペンタックスMX】 モノ・コト編① 当時、世界最小・最軽量を謳っていた35ミリ一眼レフカメラである。 このMXを手に意気揚々と野山や海、街中を巡ってシャッターを切りまくった。 半年ほど経ち、山積みされた紙焼きを眺めて愕然とし…

昭和の忘れもの

「主従関係」 【マツダ ファミリアプレスト・ロータリークーペ】 クルマ編① サイドのシルエットとリアエンドの美しさ、独特なT字型のインパネが魅力だった。 静粛性とスポーツ性能の両立が売りのロータリーエンジンだが、最大の弱点は燃費の悪さである。小型…

昭和の忘れもの

「バイクとバイト」 【ホンダ スーパーカブ】 バイク編③ 原付といえば、誰もがホンダのスーパーカブを思い浮かべるだろう。 そば屋の出前や新聞配達でおなじみの「働くバイク」のイメージだが、驚異的な燃費の良さとエンジンの耐久性はもちろん、日本で(乗…

昭和の忘れもの

「ステップアップ」 【ホンダ SL350】 バイク編② 二輪免許を手にした友達が増え、自然にバイク仲間が集まるようになった。 短命だった初代の後釜に悩んでいると、手頃な値段の中古が目に止まり、なけなしのアルバイト代を吐き出した。SL350という、たま…

昭和の忘れもの

「愛車第一号」 【ホンダ SL90】 バイク編① 初めて手に入れたのは、ホンダのSL90というマイナーなバイクだった。 鮮やかなブルーに白いラインの入ったタンク。排気量の割に大きく見える車体がお気に入りだった。 納車の日はあいにくの雨で、初ライディン…

昭和の忘れもの

【懐かしい旧車・モノ・コトにまつわる雑感】 《かつての少年たちへ》 昭和に関連した書籍、記事は数多存在する。 そうした先人たちに敬意を表しつつ、 ここでは敢えてアカデミックな要素は排し、 個人的な思いのままを綴っていこうと思う。 「少年たち」と…